ベネズエラ情勢とパワーポリティクス

トランプとマドゥロウ(上) 米国のマドゥロウ逮捕を喜ぶベネズエラ国民(下)

米国の行動原理と国際法秩序

2025年12月、トランプ政権は自国への麻薬流入を「大量破壊兵器」に相当する軍事脅威と定義しました。これを端緒とする2026年1月3日のベネズエラ軍事介入およびマドゥロウ国家元首の拘束は、国際政治における「正義」の実現を法的手続きに優先させるという、極めて現実主義的な実力行使を行いました。

米国内における麻薬による若年層の死亡者は、年間で十万人にも及ぶといわれています。これに対して米国は防戦一方で、その流入経路や製造元などへの本格的攻撃ができなかったのです。トランプ政権はこれらの状況を戦争行為に匹敵すると考え、超法規的な行為に及んだといえます。

米国の軍事を伴う主権国家への攻撃に対し、国際社会からは国際法上の疑義が呈されているものの、圧政下にあった現地市民および避難民からは広範な支持を得ています。ネット上ではベネズエラ国内や外国に逃亡したベネズエラ人たちの歓喜に満ちた動画が多数投稿されています。これは、「法の支配」あるいは「正義の実現」という理念が、実力(パワー)による裏付けなしには機能不全に陥り得るという冷徹な現実を露呈させたものと言えます。

そして各国指導者の多くは「軍事介入の可能性は排除すべきではない」というもので、パワーポリティクスの本質と、その必要性を認識しているものとなっています。

権威主義陣営への抑止

今回の軍事介入は、単なる治安対策ではなく、広域的な「中国包囲網」の一環としての性格を帯びているのです。中国が資源依存を強めていたベネズエラへの介入は、権威主義陣営の経済基盤を揺さぶる戦略的意義を持つ。中国の輸入する石油の80%がベネズエラ産ともいわれています。中国はベネズエラからパナマ運河を経由する石油シーレーン確保のために、すでに10兆円~20兆円を投資しているといわれます。

今回の米国のマドゥロウ逮捕は、パナマ運河に続く中南米における米国の主導権奪還であり、西半球における中国の影響力を排除するものであるといえます。米国は圧倒的な軍事能力、作戦能力を誇示しました。これによって、ロシア、イラン、中国といった現状変更を試みる権威主義国家群に対し、米国の「強い行動する意思」を示したのです。

日本とリアリズム外交の必要性

日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、安易な理想主義的あるいは軟弱な平和主義に終始することは、国家利益を毀損する恐れがあることに気付くべきです。国際法が常任理事国を含む大国のパワーポリティクスによって事実上無効化、あるいは恣意的に解釈されている現状を直視しなければならないのです。

日本は民主主義陣営の一員として「普遍的価値」を共有しつつも、国際社会の「適者生存」という側面を認識し、自国の実力と均衡(バランス・オブ・パワー)に基づいた戦略を構築することが急務なのです。

日本政府が推進すべき外交方針

本情勢を踏まえ、日本政府は以下の三点を軸とした政策を推進すべきでしょう。

1)日米同盟を基軸とした「力による安定」への関与 米国の戦略的抑止力を維持・強化するため、民主主義陣営としての結束を深化させる。同時に、米国の強硬な措置が国際秩序に与える副作用を冷静に分析し、実務的な連携を強化する。

2)経済安全保障とエネルギー供給網の多角化を推進すべきです。中南米情勢の流動化に伴う資源市場の変動を注視し、特定の権威主義国家に依存しないエネルギー・サプライチェーンの再構築を加速させる。

3)「理想と現実」を統合した主体的な国際秩序形成 国際法の尊重を掲げつつも、それを支える防衛力および経済的影響力を強化する。パワーポリティクスが支配する現実に即し、日本の安全保障および経済的利益を最大化するための「リアリズムに基づく主体的な外交」を展開する。

高まる高市政権への期待と支持

こうした国際的な状況の中で、日本国内では高市政権への期待と支持が高まっています。特に10代・20代の若者からの支持率は92.3%という非常に高い数値が出たとの調査もあります。これは、SNSの普及によって、若者が従来のメディアでは知り得なかった世界情勢について多くの情報を得られるようになったためだと考えられます。

高市政権への強い支持は、現代の若者が国際社会における日本の位置づけや現実的な外交戦略の重要性を理解し始めていることの表れでもあります。彼らはSNSなどを通じて、多様な価値観や世界の動向を直接把握できるため、従来型の理想主義だけでなく、国家の安全保障や経済的利益を守るための現実的な対応の必要性に共感を示しています。こうした世代の意識の変化は、日本が国際社会の中で主体的かつ柔軟に立ち回るための原動力となり、政府の政策や外交方針にも大きな影響を与えることが期待されます。

Shudo Shukumine

祝嶺修道 mail: [seiken.shukumine@gmail.com]
玄制流空手・躰道創始者祝嶺春範(制献/正献)、和子の長男として誕生。出版関係及び警備会社教育係の仕事に従事し、その傍ら長年躰道新報の編集長を兼務する。2001年、父春範亡き後、伊東市に居を移し、この地を拠点に研究、執筆活動を始める。2006年、玄制流空手道の代表に就任し今日に至る。

Author: mail: [seiken.shukumine@gmail.com]
Shudo Shukumine was born as the eldest son of Shukumine Harunori (Seiken), the founder of Gensei-ryu Karate and Taido, and his wife Kazuko. He was involved in publishing and worked as an education officer for a security company, while also serving as the editor-in-chief of the Taido Shinpo for many years. In 2001, after the death of his father Shunpan, he moved to Ito City and began research and writing activities based there. In 2006, he became the representative of Gensei-ryu Karate, a position he holds to this day.

Shudo Shukumineをフォローする
記事
シェアする
Shudo Shukumineをフォローする
タイトルとURLをコピーしました